歯のもっとも大切な役割は食べるために「噛む」ということになります。前歯の役割は、食べ物を噛み切ることになります。奥歯の役割は食べ物をすりつぶすことになります。
加えて、人間の場合、発音に関しましても歯の果たす役割はとても重要です。前歯の場合、サ行の発音をする時に、必要な歯となります。また、前歯は顔の表情を作る時場合でも、大切にです。顔は、表情筋と呼ばれる筋肉の働きがあり、笑ったり怒ったりという表情を作るのです。その時、前歯も表情を形作ることに大きく関与しています。そういうわけで、前歯を失った場合、それを補うための何らかの治療が必要となってきます。
前歯が抜けたり、損傷してしまったりした場合は、ブリッジ或いは、インプラント治療を検討することになると思います。前歯は奥歯に比べて頑丈な骨がないので、場合によりましては、ブリッジを提案されることもあるのですが、インプラントにはブリッジと比
較した場合、メリットが多数あります。
まず第一に、インプラントはブリッジのように、周囲の健康な歯を削ることはありません。これはとても大きなメリットになります。歯を削ってしまうと土台の歯の寿命が短くなってしまいますし、ブリッジの場合、隙間があきやすく、その場所から、虫歯にもなりやすくなってしまいます。最終的に、両隣の歯も抜かなくてはならないケースもあります。ですが、インプラントの場合は他の歯に影響することはないのです。
耐久性に関しましても、ブリッジ、インプラント、両方共「何年もちます」と医師は断言することはできません。しかし、ブリッジは10 年持てば成功と言われます。そして、インプラントの場合は、適切な手術と管理を行うことによって、50 年持つ臨床例が報告されているのです。50 年前よりも現在の技術の方がはるかに進歩しているので、正しい手術とメンテナンスをすることによってインプラントは永久にもつ、と言っても過言ではないのです。
さらに、インプラントは物を噛み切るとき、ぐらつきを感じることはありません。自分の歯と同じような感覚でものを食べること可能なのです。
前歯のインプラントをする場合の5 つの注意点
前歯のインプラントは、奥歯のインプラントとは異なる特徴があり、難易度が高いと言われています。そこで、前歯のインプラント治療をする場合の注意点につきまして下記にまとめました。
■歯茎が下がりやすい
歯茎は歯を支えている骨についているので、骨が吸収されてやせてきますと、歯茎も下がってきます。もし、インプラントの手術の刺激で骨が痩せてしまうと、歯茎も下がってしまうのです。歯茎が下がってしまいますと、他の歯と比較して、歯が大きく見える様になってしまいます。見た目に大きく違和感がある状態になってしまいます。
■骨が薄い
前歯は奥歯と異なり、モノを噛み切る役割があります。したがって、食事の時、奥歯の様な大きな力がかからないので、骨も奥歯ほどに厚みがありしっかりしているわけではないのです。
要するに、前歯を支えている骨は薄いということです。骨が薄いと、インプラントの手術の刺激のため、骨が吸収(とけてしまうこと)する可能性が高くなります。前歯の場合は特に注意が必要になります。骨が吸収してしまうと、インプラントが露出してしまうおそ
れがあり、そうなった場合、見た目が非常に醜悪になってしまいます。
■噛み合わせ
前歯の役割は、食べ物を噛み切ることです。噛み合わせがゆるい場合、噛み切ることが難しくなってしまいます。
しっかり噛める状態にするために、噛み合わせる歯と当てすぎてしまいますと、歯が欠けてきたりすることがあるのです。この微妙なバランスが非常に難しくなります。また、歯ならびが受け口の場合、特に上の前歯のインプラントがかけてしまったり、傷んだりしやすくなってしまうのです。このように、前歯の噛み合わせをつくる場合は、奥歯の治療には存在しない困難さがあるのです。
■前歯の形や色
前歯は、目立つ位置にあります。したがって、奥歯と比較して外見に大きく影響いたします。
他の前歯と比較し、より違和感のない、要するに、自然な仕上がりにしなければならないのです。つまり、インプラントの人工歯の形や色をしっかりとあわせることが重要になってきます。
■歯茎の色
歯茎の厚みが薄いと、インプラントの色が透けて見えてしまいます。歯茎の色がその部分だけ変わってしまうことがあるのです。
前歯をインプラントにする場合、これらの注意があります。
■前歯のインプラントの方法
1. 手術前検査
インプラント手術を行なう前に、レントゲン写真やCT 等を撮影しまして、骨の厚み、吸収具合等の状態把握をいたします。また、歯型をとり、インプラントにつける人工歯の形について検討します。
2. インプラントの埋入
局所麻酔をして、歯茎を切開し、インプラントを埋入する部分を露出させます。その後、インプラントを埋入する部分の骨の表面に印をします。そして、専用のドリルで、インプラントを入れる方向にガイドとなる穴をあけ、このガイドに沿って、専用のドリルで穴を拡大させ、インプラントを入れるための幅のある穴に形成いたします。出来た穴にインプラントを埋入します。埋入したインプラントには、仮の蓋をします。
3. 骨の造成
インプラント周囲の骨の厚みを確保するための骨造成術を行います。移植材料は、自家骨や代用骨、或いはその両者になります。また、移植した骨がしっかりと骨になるよう、メンブレンとよばれる特殊な膜をその上に置いて保護することもあります。
4. 縫合
インプラントや造成した骨を覆う様に、歯茎を縫合し閉鎖します。閉鎖するためには歯茎が不足し、歯茎に無理な力がかかりそうな時は、歯茎を伸ばす処置を行うことがあります。なお、抜歯は大体1 週間後となります。
5. 仮歯
インプラントの手術だけでは、まだ前歯がないままなので、しばらくの間は、仮歯をつけ、生活することになります。仮歯はとれやすいため、仮歯の部分で食べ物を噛まない様にしなければなりません。
6.人工歯の装着
インプラントの周囲に骨が結合してくる期間は、大体4~6 ヶ月ほどになります。この期間が終了後、人工歯を装着する段階に移っていきます。まず、局所麻酔をして、歯茎を切開します。すると、インプラントの仮の蓋が見えてくるので、それを取り外し、アバッ
トメントとよばれる人工歯とインプラントを繋げる芯を埋入します。そして、歯型をとり、人工歯をとりつけ、終了です。
■前歯のインプラントの治療費用に関して
前歯のインプラント治療の総額の目安は30 万~ 45 万円程度になります。
インプラントの手術費用自体は150,000 円~ 350,000 円程度が相場になるのですが、そこにレントゲン撮影や歯の模型作成などを行う手術前の検査があり、医師の診断料( 約15,000 円~ 50,000 円)、抜歯治療(5,000 円~ 8,000 円)、人工歯・連結するネジの代金、接着するためのセメント代金などの素材代(50,000 円~ 200,000 円)、治療期間中に装着する仮歯(5,000 円~ 20,000 円) などが必要になってきます。
そして、初診料や再診料、カウンセリング料、管理費、麻酔代などを請求される場合もあります。
前歯のインプラント治療は、前歯の骨が薄いため神経を傷つける恐れもあり、高度な医療技術が求められるます。ですが、前歯は、顔の見た目や表情、発音などにまで影響のある大切な部位です。絶対に失敗したくないはずです!そのためには熟練の歯科医師をしっかりと探すことが必要不可欠になってきます。
まず、ひとつのクリニックに絞らないで、いくつかのクリニックで担当医のカウンセリングを受けることをオススメ致します。不安や疑問に親身になり答えていただけます。メリットだけでなくリスクも説明してくれるのか、インプラントや歯科治療において実績が豊富か等を確認して下さい。インプラント治療を検討している場合であっても、虫歯や歯周病、審美性など様々な課題をクリアする必要があります。ですから、口腔内のこと全てに柔軟に対応が可能な歯の総合医療機関の方が、すべての角度からの適切な専門治療を受けることが出来るので、より一層安心ですし、オススメです。