インプラント治療が難しい状態や病気はあるの?

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こんにちは。プラザ若葉歯科のスタッフです。私は、古い街並みがとても好きなので、となりまち川越市によく遊びに行きます。先日、昔からある川越市のお気に入りのラーメン屋さんに行ってきました。通常の1杯分に、2玉分入っているボリューミーなラーメンです。川越市周辺のラーメン好きは知っているお店だと思います。おいしいものを食べる喜びは、何物にも代えがたいものですね。さて、食べると言えば丈夫な歯とそれを補うインプラント。インプラントの話を始めますね。

インプラントには多くのメリットがあることから、歯が抜けてしまった後に機能を補う選択肢の1つとして選ばれることが増えてきました。他の歯に負担を掛けない、見た目が自然、(入れ歯が)合わないなどの煩わしさや痛みがない、など今までブリッジや入れ歯ではつきものだった、マイナスの観点を全て取り除いた、万能の治療薬のようにも見えます。

インプラントは万能薬ではありません。どんなに技術革新が進んでも、自然の歯の持つ機能に、かなうものではないのです。まずはご自分の歯を大切にすることが重要です。

インプラント治療は外科手術が伴います。そのため、外科治療に耐えうる体力や十分な免疫力・治癒力の有無などもインプラント治療を行うにあたって必須条件となります。

1.お口と全身の関連性

お口は体に必要な栄養源である食べ物の入り口です。反対の言い方をするとお口から取り込まれたものは、良いものであれ悪いものであれ体を作っていく一部になるのです。また、お口の中は皮膚に守られておらず、すぐ下には多くの毛細血管が通る粘膜で覆われています。虫歯や歯周病をはじめとする細菌が血管の近くまで浸食し、常駐するようになると、細菌が血管を通り全身をめぐるようになるのです。抵抗力・免疫力が高ければ、大きな害はないかもしれません。しかし、風邪をひいたり、高齢で体力が衰えるときに、細菌が原因となり体内で炎症を作ったり、血栓を作る原因となります。

お口は、とても大切。脳と全身にパワーを与えるために、とても重要な入り口としての役割を担っています。他にも、噛むことにより脳に刺激を与えること、歯の残存数と認知症の発症率に大きな関係があることなど、お口や歯を守ることにより、健康寿命が延びていことが研究により明らかになってきています。

2.インプラント治療ができない代表的な疾病

歯周病以外にも全身や命にかかわる疾病を持っている方は、インプラント治療ができないものがあります。インプラント手術自体が体に大きな負担をかけてしまうリスクもありますし、手術後の治癒が見込めないという場合もあります。特に以下の状態に該当する方には、インプラントはお勧めできません。簡単な理由も合わせて記載します。

重度の糖尿病

糖尿病とは、体の活動に必須の糖が各細胞にうまく取り込まれなくなる病気です。食べ物を取らないと、お腹がすいて力を発揮できなくなることと同じです。全身の細胞組織にとって、常に糖が足りていない状態となるため、体のいろいろな部分に不調をきたし他の疾病を誘発してしまうこともあります。

糖尿病がコントロールされていないと、本来持つ細胞の力が弱まっていることから、傷の治りが遅くなり、インプラント体と骨との結合にも時間がかかってしまいます。また、免疫力も低下していることから、手術による細菌感染のリスクが高まる危険もあります。

重度の心臓病

心筋梗塞や狭心症の方は、インプラント治療だけでなく、歯科治療全般を避けた方がよいです。お口は、体の中でも血管が近い場所です。細菌は血液によって運ばれるため、まず心臓へ到達します。心臓が安定して拍動していない場合や、血栓による詰まりのリスクが高いときは、細菌に触れる可能性を少しでも下げる必要があります。

また、ペースメーカーなどの人工物を体内に入れている方は、お口の中の細菌が人工物に付着することで炎症(感染症心内膜炎)を引き起こす可能性があります。

どちらにしても、インプラント治療を望むのであれば、主治医と相談をするようにしてください。

肝臓病

肝臓は、血液を凝固させる働きをするタンパク質を合成します。そのため、肝臓が正常に機能していない場合、止血しにくくなります。インプラント手術をしても、血が止まらないため、傷の完治もインプラント体と骨との結合にも影響を与えるのです。また、インプラント治療前後に処方される薬によって、肝臓の機能をさらに低下させてしまうことも考えられます。

腎疾患

腎臓は体の老廃物を外に出したり、体の血液・水分量の調節をしたりする臓器です。腎疾患に係ると、老廃物を排泄できなくなり、体内に毒素がたまってしまうのです。そのため、免疫力も低下してしまい、傷がなかなか治らなくなってしまうのです。

また、腎臓には強い骨を作るという役割もあるため、疾患によりこの機能が低下していると、骨がもろくなっていることが予想されます。インプラントを埋める骨には一定の強度と厚みが必要となることから、インプラント治療はお勧めできません。

その他避けた方がよい状態

 

その他のインプラント治療を避けた方がよい疾病や状態には、以下のようなものがあります。

・骨の成長途中にある方
・骨粗鬆症
・がん治療中
・高血圧

2つの理由としては、インプラントには、安定した厚みでしっかりした強度のある顎の骨が必要ということがあげられます。

また、がんの治療中や、高血圧の治療中の方もインプラント手術によるリスクが高いため、お勧めできません。また治療中に服用している薬が、インプラントの治りを遅める場合もあります。

3.重度の歯周病もインプラント治療は難しい

インプラント治療をすれば、自然な歯の機能や笑顔も取り戻すことができると、多くの方が期待を寄せています。しかし、前述したように、だれでもができる万能治療法ではありません。特に、お口の中の状態として注意してほしいものに歯周病があります。

歯周病は、細菌によって歯茎や顎の骨などの歯周組織が失われていく病気です。失われてしまった歯周組織が、元の形に戻ることはありません。しかし、歯

周病は、原因となる歯石やプラークなどを丁寧に取り除き、お口の中の状態を清潔に保つことで、進行を止めることができる病気でもあります。

歯周病は進行を抑えたり、コントロールしたりすることができるものです。しかし、歯周病に対して何もアクションが起こされていない状態で、インプラントの治療を行うことはできません。その理由は以下の通りです。

自然の歯を残す方を優先してほしい

重度の歯周病になれば、歯の根っこを支えている歯茎が失われてしまい、自然な歯を残すことができなくなってしまいます。本当に、歯を抜く以外の選択ができないものもありますが、はじめからインプラント治療を考えるよりも、まずは自分の歯を守ってください。治療により完治した歯周病の歯と、歯を失った後に入れたインプラントでは、インプラントの方が抜け落ちるのが早かったという報告もあります。

簡単に、「歯周病になっている歯を抜いて、インプラント治療しましょう」という言葉に騙されないようにしてください。

インプラント周囲炎になる

歯周病が完治、もしくはコントロールできていない状態のままインプラント治療をすると、そのままインプラント周囲にも炎症や細菌が引き継がれて、インプラント周囲炎にかかってしまいます。インプラント周囲炎とはインプラントの歯周病です。歯周病と同じように、インプラントの周りの組織を浸食していき、歯茎や顎の骨が溶かされてしまいます。

インプラント周囲炎は進行が早い

歯周病と比較して、インプラント周囲炎の厄介な点は、認知ができないため気が付くのが遅れる点と、進行が早い点にあります。まず、インプラントには顎の骨と繋がる血液や神経がないので、自然の歯のような免疫力がありません。細菌がインプラントの周囲に集まってきたときに、抵抗する力がないのです。そして、神経もインプラントには通っていないため、痛みや違和感を認識することができません。

また、顎の骨が溶かされて失われるスピードも歯周病と比較すると10~20倍の速さとなります。

4.疾病をコントロールすることでインプラント治療が可能になることも

それぞれ、糖尿病や心臓病などインプラント治療を避けた方がよい疾病とその理由を簡単にあげてみました。体について知れば知るほど、多くの組織や臓器が、それぞれの役割を担って、健康な体を維持しているんだなーと、感心せざるを得ません。

全身に関わる疾病にはいろいろありますが、どんな疾病を持っていても毎日の生活で食べることは大きな喜びの一つとなるのではないでしょうか。それぞれの疾病を抱えながらのインプラント治療には、もちろんリスクがあります。絶対やってはいかない、という状態の人もいるでしょう。

しかし、インプラントをご希望される方が、主治医と相談したうえで問題ないと判断された場合には、インプラント治療を受けることができます。また、今なお多くの方が病と闘っておられると思います。戦っておられるお一人お一人を応援しています。

できないことが増えていくだけの生活ではなく、自分が選べるできることにチャレンジする生き方の方がかっこいいと思いませんか。我慢ではなく、生きがいと楽しみと感謝を感じる日常を送れますように。

私たちプラザ若葉歯科は、素敵な笑顔や、噛む喜びを取り戻して、前向きに生きる方を応援しています。

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