みなさんは自分の歯みがきについてどれくらい自信がありますか。
歯みがきには、歯みがきのタイミング、回数、歯ブラシ選び、歯みがき粉選び、歯みがきテクニックと様々な要素が含まれています。毎日の歯ブラシで、完璧に汚れを落とすことは難しいものです。
インプラント治療後は、いつも通りに歯ブラシができるのでしょうか。インプラントをした患者さんが治療後にどのように歯を磨いていけばよいか、どのような注意点が必要となるのか考えていきます。
1.インプラント治療直後の歯みがき
インプラント手術後は、やさしくお口をすすぐように指示され、すぐに歯みがきをする必要はありませんが、食後の歯みがきは特に大切になっていきます。清潔な状態を保てるようにしつつ、傷口となっている治療部位を刺激しないように気を付けなければいけません。
(1)インプラント治療部位
治療部位は傷口となっているため、術後~数日間(2,3日)は触らないようにしましょう。
インプラント治療を行った部分には、傷口に蓋をするかさぶたと同じような働きをする「血餅」(けっぺい)という血の塊ができます。この血餅は出血を抑え傷口をまもるためにあるため、それがはがれるような動作はNGとなるのです。
例えば手や舌で触れたり、強くうがいをしたりすることも避けましょう。治療部位への歯ブラシはもちろん厳禁です。
(2)その他の部分
治療部分に触れないように気を付けつつ、他のところはいつも通りに磨きましょう。インプラントを長く保つには、治療部分だけではなくお口全体の清潔である必要があります。
また、歯ブラシで歯の表・裏、側面などを意識して磨き、歯と歯の間は歯冠ブラシやデンタルフロスを使い、清潔に保つように努めてください。しかし、強いぶくぶくうがいはしないように注意してください。
特に、気を付けてほしいのは歯みがき粉やデンタルリンス、うがい薬などの薬剤です。
医院によっては、術後数日間は使用を制限するところもあります。薬剤が傷口に染みてしまったり、歯みがき粉の磨き成分である粒子が傷口に入ったりする可能性があるからです。強くうがいができない分、お口の中にゆすぎ切れない歯みがき粉が残ってしまうことも考えられます。特に医院からの指示がない場合や不明なときは、いつも使っている薬剤は使用しないようにしてください。
時間がかかっても丁寧に優しく磨きましょう。早めに傷口が治るためにも、治療部位以外も刺激の少ない水やぬるま湯で、優しく丁寧にしっかりと磨くいてください。
2. 抜糸までのお手入れ方法
インプラントを埋め込んでから、抜糸までは1~2週間の期間があります。その間は、歯ぐきが自然治癒する時間となります。 治療部位は子供のころにできたかさぶたのように、表面だけかたまって中が完全はゆっくりと治癒していきますので、デリケートに扱うことを心がけてください。
(1)インプラント治療部位
傷口となっているため、血餅が落ち着いてきてもなるべく触れないようにしましょう。うがいで完全に血がでなくなったら、糸の周りに汚れをためないように専用の柔らかいブラシで清掃することをお勧めします。
(2)その他の部分
ある程度傷口が落ち着いていても、歯みがき粉は禁止ではないのですが、使用はお勧めできません。研磨剤が傷口を傷つけてしまう可能性は術後よりは低くなりますが、強くうがいできない分、歯みがき粉に入っている研磨剤やつぶつぶ成分が、口の中から完全に落としきれず残ってしまうこともあるからです。
また、デンタルリンスや洗口液も抜糸までの期間は避けるようにしてください。
3.インプラント治療後の歯みがき
インプラントが顎の骨と完全に密着し、上部構造の装着も完了したら、自分の歯と同じように大切にしていくセルフメンテナンスがより重要になってきます。
インプラントの周囲はもちろん、その他の部分でも磨き残しが多くなってしまうと、お口全体の清潔な環境が保たれず、インプラント周囲炎(インプラントの歯周病)となってしまいます。
インプラント装着後は、治療部位やその他の部分と区別をする必要はありません。なるべくやわらかめのブラシで噛み合わせ部分、側面、裏面にもブラシが届くように1本ずつ意識して磨くようにしましょう。特に、歯と歯の間は汚れが落としにくい部分となっています。歯間ブラシやデンタルフロスを上手に使って、磨き残しのないように丁寧に磨いてください。
4.歯ブラシと歯みがき粉の種類と選び方
インプラントにした場合、今までと同じ歯ブラシと歯みがき粉を使い続けていいのでしょうか。インプラント治療後の歯ブラシとそのほかのお助けグッズ、歯みがき粉選びについて考えてみましょう。
(1)インプラント治療後の歯ブラシ
歯ブラシはインプラントの有無に関わらず、コントロールがしやすいストレートタイプがお勧めです。毛先の種類は毛先が平らなもの(ラウンド型)を選びましょう。特にインプラント治療部分は、歯と歯ぐきの境が他の自然歯の境と比べると弱くなっているため、毛先がぼこぼこしていたり、長さが不揃いのブラシ(テーパード型など)を使用すると、長い毛先のみが歯茎とインプラント治療した歯の間に入り、傷つけてしまうことがあります。
歯ブラシは力バランスが大切です。ゴシゴシと力を入れて磨く癖がある人や、歯ぐきに傷や炎症がある人は「やわらかめ」を使うように推奨されています。インプラント治療後はこの「やわらかめ」を使うようにしましょう。前述したように、インプラント治療の周囲は歯茎が自然歯に比べて弱くなっているため、ゴシゴシ磨くとブラシの力に耐えられず、歯ぐきを痛める可能性があるからです。ゴシゴシ磨きが好きな人でも「かため」は選ばないようにしてください。歯は、強く磨いたからといって汚れが取れるわけではありません。優しい力で、ブラシの毛先が届くように磨く方向や場所を変えながら、くまなく磨くことが大切なのです。
力強く磨くと毛先が奥まで届く気がするのは、勘違いです。磨き残しを無くすためにも、フロスや歯間ブラシを活用していきましょう。
・ワンタフト歯ブラシ
歯並びの悪いところや、奥歯の先や裏磨くのに適した歯ブラシです。インプラントはデリケートなため、このような歯ブラシを選ぶ際も「やわらかめ」を選びましょう。インプラント専用のワンタフト歯ブラシもあり、毛はとても柔らかいものとなっています。
・歯間ブラシ
歯と歯の間を掃除するためのブラシです。こちらは先の細くなったタイプがお勧めです。また、必ずブラシの毛先がコーティングされているものを選択してください。金属がむき出しのものもありますが、歯やインプラント体に触れたときに柔らかいチタンであるインプラント体や表面が傷つく恐れがあります。
また、特に注意してほしいことは、隙間がないところに歯間ブラシを無理に入れないこと。無理に歯間ブラシを歯の間に入れると、汚れを取るだけではなく、歯や歯ぐきを傷つけてしまいます。歯間ブラシを使い始めの方はサイズが小さいものを選んでください。
・デンタルフロス
デンタルフロスには、柄がついているF型とY型、糸だけの糸型があります。アルファベットのFとYの形にそれぞれ柄が作られています。F型では前歯の歯の間を磨きやすくなっています。Y型ではアルファベットのYの先にフロスがついている形になっており、奥歯の歯間を磨きやすい形になっています。
歯と歯の間は前歯よりも奥歯の方がより面積が広くなっているため、始めは奥歯が磨きやすいY型をお勧めします。慣れれば糸型も上手に使えるようになります。
(2)インプラント治療後の歯みがき粉
CMでもいろいろと見ますが、現在歯みがき粉には多くの種類があり、それぞれ特化した種類のいろいろなものが発売されています。フッ素配合のむし歯になりにくい歯みがき粉を基本に、知覚過敏、ステイン除去、歯周病や口臭予防など様々なものがあります。
インプラント治療後に選ぶ歯みがき粉の注意点は、歯みがき粉の中に入っているつぶつぶ成分が多くないことです。このつぶつぶ成分は研磨剤と言い、歯の表面を磨き歯と歯の間に入り込み汚れを洗い流すために、効果的な成分の一つなのですが、研磨剤の粒子が大きいタイプだと完全に洗い流されず、歯周ポケットやインプラントと歯ぐきの間に入り込んでしまう可能性があります。
歯周ポケットやインプラントとの間に入り込んでしまった顆粒のつぶは、自然になくなることはなく、その周りに細菌が集まり巣窟となるのです。歯みがき粉の粒子の粒が、歯の汚れを削って落とすという良い成分だけに留まらず、お口に残ってしまうことで悪影響を及ぼしてしまう結果となります。
インプラントの歯みがき粉選びでは、「顆粒の入っていないもの」を選択してください。顆粒の入っているものでも、粒子が細かめのものを選ぶように心がけてください。
勘違いしがちですが、ブラッシングをする際の歯みがき粉は必須ではありません。
CMの影響により、歯みがき粉がブラッシングの効果をUPさせるように思ってしまいますが、正しい歯磨き方法が身についていれば、歯みがき粉は使用しなくても問題ありません。
気持ちの良い生活にとって、身の回りや体の清潔・きれいさは不可欠です。
インプラントを考えている人は、ご自身にとってもう少しだけよりよい食生活、毎日を目指そうと考えている前向きな方であると思います。インプラントは、健康な体を健康なまま維持し、おいしい食べ物を心から楽しむ毎日へ、一歩踏み出すための選択肢の一つです。わからないこと、気になることがあればお気軽に最寄りの歯科医院へご相談ください。
私たちは古くから街並みを大切にしている川越市のとなりに位置するプラザ若葉歯科です。
川越市にある蔵造の家も1つ1つの家々が美しく整って、きれいな街並みを維持しています。私たちは、みなさんの笑顔を形作る歯の1本1本を大切にしたいと考えています。
一緒にきれいな歯を維持し、最後まで輝かせていきましょう。
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