インプラントと歯周病

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近年、歯みがき粉のCMなどで、よく取り上げられるようになった歯周病。みなさんは歯周病についてどのくらいの知識がありますか。歯周病は、数年前までは一般的に歯槽膿漏と呼ばれており、不治の病として恐れられていました。この歯周病、実は日本人の歯を失ってしまう原因として虫歯を抑え、第1位でもあります。

第1位と言えば、お隣の川越市は埼玉県で行ってみたい街、第1位を誇っています。小江戸として、古くからの街並みを残す川越市。酒蔵や神社など見どころもたくさんあります。ぜひ、季節ごとに足を運んでみてください!

さて、インプラントのお話に戻りましょう。インプラントは歯を失ってしまったところへ治療できる、代替歯として多くの人が利用していますが、重度の歯周病によって歯が失われた部分へインプラント治療が可能なのでしょうか。今日は、インプラントと歯周病のお話しです。

1.進行している歯周病の部分へインプラント治療は不可能

歯周病とは、簡単に言えば歯や特に歯の周りの骨や歯茎に炎症を起こし溶かしていく病気です。歯の周りへ悪影響が出るため、その名の通り歯周病と呼ばれています。歯の周りを溶かしてしまった結果として、歯を支える土台がなくなり歯が抜け落ちるのです。

進行している歯周病患部へインプラント治療を行うことはできません。その理由は二つあります。

(1)歯周病菌の影響により炎症を広げてしまう

インプラントは顎の骨に穴を開け、インプラント体という人工歯根を埋める治療のことを指します。歯周病とは歯垢の中にある細菌が炎症を引き起こし、周りの組織を壊していく病気です。最終的に歯を支える骨を溶かしてしまいます。歯周病が治っていない状態というのは、歯を支える骨を溶かしている原因をそのまま放置したまま、顎の骨に穴を開けるということです。そしてそれは、骨を溶かす原因となる細菌が顎の骨奥深くまでの侵入を許すことと同じです。「骨の奥まで通路を開けるので、どうぞ顎の骨を奥からも溶かして下さい」と歯周病菌さんへ言っていることと同じなのです!

歯周病が原因で歯を失ってしまった部分へ、インプラント治療を行いたい方は、まず初めに磨き残しなどから発生する歯垢を落とし、歯周病の原因菌をできるだけ少なくすることが最優先となります。歯垢を除去し丁寧にクリーニングなどをおこなえば、歯肉などの炎症も少しずつ抑えられていきます。

歯の周囲へ悪影響を及ぼしてしまう、歯周病菌が他の健康な部分に広がらないようにするためにも、歯周病の状態が落ち着くまでインプラントの治療はお勧めできません。

(2)土台がない状態でインプラントを埋入することが不可能

歯周病菌として呼ばれている菌は数多くあり、今の段階ではそれらの菌の全てを完全に特定することはできていません。歯周病によって引き起こされた炎症は、細菌や歯垢を除去することで落ち着いていきます。しかし、歯周病によって溶かされてしまった顎の骨ややせてしまった歯茎は、元通りにはなりません。

そのため、歯を支えることのできなくなった土台へ、そのままインプラントを埋めても、支えることはできません。インプラントは人工歯根ですので、顎の骨に十分な厚さと強度がなければ歯を埋めることができないのです。

2.歯周病とは

歯周病とは、細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患です。 お口の中に残った磨き残しの汚れは、歯ブラシが届きづらい、歯と歯の間(歯間)や歯と歯ぐき(歯周ポケット)の間に残ります。歯みがきが隅々まで行き届かないと、毎回同じところに汚れがたまり蓄積してしまうのです。もともとお口の中にある細菌が、お口の中に残った汚れを栄養源にしてネバネバした歯垢(プラーク)を作り、それが歯の表面にくっつきます。磨き残しが全くなければ、普段は悪さをしないお口の中の細菌なのですが、栄養分が口の中に残ることで、それを基にしてネバネバした歯垢(プラーク)を作り出してしまうのです。

歯周病は、この歯垢の中に潜む細菌によって周りに悪影響を与えます。歯垢は取り除かなければ、石のように硬くなり、悪さをする細菌を含んで結束し歯にこびり付きます。それが歯石です。歯石が歯にこびり付くと、外からは簡単に取り除けない状態になります。そうするとブラッシングでも取ることが難しくなります。

この歯周病、「腐ったみかんの方程式」(※)という金八先生の名講義がありますが、とてもよく似ています。お口の中の細菌が「みかん」。それが生み出す悪い働きをする歯垢を「腐ったみかん」と考えてください。お口の細菌は、普段は悪さをしません。ですが、歯みがきをしなかったり、磨き残しがあることによって、歯やお口回りに悪影響を及ぼす根源となる歯垢(「腐ったみかん!」)を作り出すのです。

そして、その元を取り除かなければ、少しずつ周りを悪い状態へと変えていきます。

※あまり知らない方のために・・・

「腐ったみかんの方程式」についてご説明します。みかん箱にはたくさんのミカンが入っています。その中に一つでも腐ったみかんがあると、他の食べられるみかんも悪影響を受け、その周りから次々と腐り始めるのです。

金八先生のドラマの中では、悪いもの(素行不良の生徒)は放り出せという考え方を紹介する例えとして使われました。最終的には、金八先生は「みかんではなく人間を育てている」という宣言をして、不良少年を仲間に受け入れ一件落着を迎えます。

3.歯周病で歯が抜けるメカニズム

歯周病とは、周りに炎症を引き起こす病気です。歯肉や骨が炎症を引き起こし、歯を支える顎の骨が溶けてしまうことで、最終的に歯が抜け落ちてしまいます。

薄いピンク色の歯茎が正常な歯茎です。歯垢がたまると歯茎が赤く腫れてきます。歯茎が炎症を起こしている証拠です。そうすると、腫れた歯肉の間にさらに汚れがたまりやすくなってしまいます。この頃になると、ブラッシングだけで出血をするようになります。さらに、悪化すると徐々に歯茎が下がり、歯と歯の間も広がっていきます。

歯の状態がボロボロになるのではなく、歯を支える周囲が脆くなり、歯を支える力がなくなるのです。小さい時に遊んだ山崩しと同じ原理です。周りの砂が少しずつなくなり、真ん中に刺さった棒を支えられなくなることで、なかなか倒れなかった棒が最後には倒れてしまいます。同様に、歯周病も歯肉が腫れ顎の骨が徐々になくなっていくことで、歯の支えがなくなり歯が抜け落ちるのです。

インプラントは、人工の歯を自分の顎の骨に埋める治療です。もし、歯周病が進行した結果として歯を失った場合は、人工の歯を埋める土台であるはずの顎の骨が十分に歯の根を支える機能がないことが多いのです。

4.歯周病予防・進行抑止の大切さ

虫歯などで削ってしまった歯が元に戻らないように、歯周病でやせた歯茎が自然に元に戻ることはありません。溶かされてしまった顎の骨が、自然に厚さを取り戻すこともありません。元あった通りに回復するという意味では、歯周病は治すことはできないのです。

しかし、今お口の中にある、歯周病の原因を取り除いたり、丁寧に隅々まで歯みがきができるようになることで歯周病の進行を止めることはできます。歯周病のもとは、磨き残しです。ブラッシング指導を受け、歯医者さんで、なかなか磨けないところまでクリーニングをしてもらうことで、それ以上の悪化を阻止することができます。

インプラントは自然の歯に勝るものではありません。健康な自然の歯の内部には血液や神経が通っています。歯や歯茎が血液から酸素や栄養をもらうことによって、歯や歯茎の栄養が補充され、さらに抵抗力も蓄えられています。栄養をもらって生きているところは、ちょっとやそっとのばい菌に負けない強さがあるのです。

5.歯周病治療後のインプラント治療

進行してしまった歯周病をコントロールできるようになり、お口の中が清潔になったら、インプラントを入れることは可能です。近年では、歯周病で顎の骨が薄くなっても、治療によって顎の骨の強度を増し、そのうえでインプラントを埋入する再生治療ができるようになりました。そのため、今まで顎の骨が足りないから、難しいと言われて諦めていた方もインプラント治療が受けられるようになったのです。

骨再生治療と呼ばれており、いくつかの手法があります。インプラント治療に耐えうるだけの骨の量や密度がない方のために、十分な顎の骨を確保するための治療です。顎の骨の再生を待つ代表的な治療法にGBR法というものがあります。

治療部位にある程度の空間を設け、人工の膜で覆うことで顎の骨が再生できるスペースを確保するという方法です。インプラント手術前に予め行う場合や、インプラント手術と同時に行う場合があります。

歯周病で歯を失ってしまっても、インプラント治療を受けることは可能なのです!この骨再生治療を受ける場合は、通常のインプラント治療よりも料金や時間がかかる場合がありますので、事前のご相談をお忘れなく。

今日は、歯周病とインプラントについてお話ししました。歯周病が原因で歯を失った時は、先に歯周病の治療が先決です。しかし、残せる歯を抜いてまでインプラントにはしないでくださいね。自然の歯に勝るものはありません。

インプラントは、歯を失って日常生活に負担やストレスを感じている方のためにあります。歯を失う原因が、虫歯でも事故でも、歯周病でも同じです。インプラント治療を望む方が、一人でも安全・安心なインプラント治療を受けられるように、私たちは日々勉強をしています。

川越市の隣街にあるプラザ若葉歯科では、ここで紹介した骨再生治療も行うことができます。顎がやせてしまった。歯が抜けてから時間がたってしまった。などの不安を抱えた方々にもインプラント治療が可能です。

皆さんの輝く笑顔を応援したい、川越市の隣にあるプラザ若葉歯科です。

今日も元気に診療中です。

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