インプラント治療したあとにMRI検査は大丈夫?

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私たちは、人間ドックや精密検査などを受けるときに、様々な医療機器を利用します。

隣町、川越市でも人間ドックに特化した専門施設があります。検査に使う医療機器の一つがMRI検査です。インプラントをしているとMRI検査は受けられないという話をよく聞きます。検査を受けるときにも、金属の腕時計や、装飾品は外すように指示されます。インプラントは金属製!MRI検査は受けられないのでしょうか。

今日は、インプラントとMRI検査の関係についてお話します。

1.インプラントの種類

MRIの検査前の注意事項に「インプラント」についての注意事項が記載されている場合があります。歯の替わりに入れるインプラントの話をする前に、一般的に言われる「インプラント」とは何かをご説明します。

インプラントとは、もともと「イン」と「プラント」の2つの単語が組み合わさってできたもので、「中に埋め込む」ことを指します。医療の現場では、体の中に埋め込む人工物をすべてインプラントと呼んでいます。例えば、心臓のペースメーカー、人工内耳、人工関節などがこれにあたります。また、皮膚の下に人工物を入れることもインプラントと呼ぶことから、豊胸手術で使用するシリコンなども「インプラントバッグ」と言ったりします。

インプラント=人工歯という認識が広がってきましたが、全員が同じようにとらえているわけではありません。心臓ペースメーカーや人工関節など、体内に埋め込まれている他の人工物を指している場合もあるのです。インプラントという言葉が使われる場合は、必ずしも歯のことを指すわけではないということを覚えておいてくださいね。

 

2.MRIと金属の関連性

MRIは英語でMagnetic Resonance Imagingと言い、磁気共鳴画像と呼ばれています。Mはその名の通りマグネットのMで、強力な磁力を発生させて検査をすることからこのような名称となっています。

MRI検査の際は、金属が含まれる時計や装飾品はできるだけ外すように指示されますね。これは、MRIが強力な磁場(磁力の流れ)を発生させる装置で、巨大な磁石そのものとなるからです。金属を身に付けたまま、検査に臨むとその金属が装置に反応してしまいます。その影響でMRI画像に乱れが生じる、磁石の力で金属が引き寄せられたり、破損してしまったりするということがあげられます。では、実際にどのような影響が考えられるのか、具体的にご説明します。

3.MRI画像への影響

磁石の力で体内の画像を取得するのがMRI検査です。MRIに影響を与えてしまうものには、磁石に反応する金属や磁石自身があげられます。

(1)インプラントの影響

金属がMRIに及ぼす影響の一つに、撮影画像の乱れがあげられます。MRIは磁石の力を使っているため、金属に大きく反応するのです。その結果、MRI検査の結果の撮影画像では、金属の周辺がぼやけたり黒く抜けたりするように映ってしまうことがあります。

しかし、金属でもプラチナやアルミ、純金や鉛など、磁石がくっつかない素材がありますよね。歯科用インプラントに使用されている「チタン」または「チタン合金」は、同じように磁石がくっつきません。磁力の影響を受けにくい非磁性金属です。そのため、歯科用インプラントは、MRI画像の診断結果を左右するほどに大きな影響を与えることはないのです。

(2)銀歯や入れ歯の影響

実は歯科用インプラントよりも、「銀歯」や「入れ歯」がMRI画像に影響を与えることが多いのです。歯の治療をして「銀歯」や「入れ歯」を入れている方の頭部MRI撮影を行ったところ、金属の影響で画像の乱れが発生することが認められています。 また、金属だけではなく磁石を使った入れ歯などもあります。MRI検査時の磁力から大いに影響を受けてしまうため、画像が乱してしまう可能性があるのです。

4.インプラントへの影響

歯科用インプラントに使われているチタン製金属は、MRI画像にほとんど影響を与えないことはわかりました。では、反対にMRIの磁力がインプラント本体に影響を与えることはないのでしょうか。

(1)発熱の可能性

MRIは人工的に磁場を発生させて検査を行うため、常に発熱の可能性があります。 金属がなくても、過剰な電流の流れが生まれ皮膚の接触面が火傷することもあると言われています。そのようなリスクを避けるため、磁石が付かない金属でも取り外しのできるものは全て外して検査を受けるべきです。

金属をつけたまま検査を受けると、その中に含まれる鉄などの素材がMRIの磁力に引き合うことで、熱を発生させることがあります。磁石のくっつく素材である鉄、ニッケル、ステンレスなどの素材には十分注意しましょう。

歯科用インプラントは磁石に引き寄せられないチタン製金属であるため、MRIの磁力がインプラントへ影響を与えることはありません。そのため、熱が発生する可能性もほぼないと言えます。

では、歯を治療した時の金属の詰め物や被せ物は大丈夫?と心配される方もいると思います。MRI検査の歴史の中で、歯の詰め物や治療跡が原因で口の中で発熱が起きたという事故の報告はありません。MRI検査を受けるうえで、取り外せないお口の中の詰め物が及ぼす危険性は、無視できるレベルと考えられます。

MRI検査において注意が必要なものは、金属以外にも保温性の高いTシャツやカラーコンタクト、化粧品や入れ墨などと他にもあります。しっかり説明を聞いて、指示に従って検査に望むことが大切です。

(2)磁力の引っ張る力の影響

前述のように、歯科用インプラントはMRIの磁力に反応しないため、治療して埋めたインプラントが検査によって、外れてしまう可能性もありません。

しかし、あごの骨に埋め込むインプラントの素材に問題がなくとも、他の部分に別の金属や磁石を使っていることがあります。インプラント(人工歯根)とクラウン(差し歯)との連結や、入れ歯の固定に磁石を使っている場合は、MRI検査中に磁石の力に引っ張られて外れてしまう恐れがあります。外すことができるものは、入れ歯も含めて外しておくと安心ですね。もちろん、固定されている銀歯などの詰め物への影響はありません。

取り外しのできない心臓ペースメーカーや人工内耳などのものについては、磁力によって機器が故障や破損してしまう可能性があります。心臓ペースメーカーについては種類により、MRIが受けられるものと受けられないものとに分かれます。条件付きで受けられる場合などもあるため、主治医にご相談ください。体内に手術によって埋められた人工物が壊れてしまうことで、生命に危険が及んではいけません。

そういったリスクを減らすために病院では、MRI検査の前に必ず「インプラント」の有無を尋ねられます。体内にある人工物は全て「インプラント」と呼ぶことができるので、ペースメーカーや人工内耳、人工関節、頸動脈クリップなどもインプラントと考えられます。歯の治療のインプラントをしているときは、「歯科用インプラント」であることを説明してください。

5.MRIにとっての問題は磁石の有無

結論として、現在利用されている歯科用インプラント治療はMRI検査にとって、大きな問題となることはありません。MRI検査を行う際に悪影響を及ぼすものは、お口の中に使用されている処置や歯の素材の中に磁石が含まれているかどうかなのです。画像の乱れだけではなく、発熱や磁力によって大きく引っ張られるリスクも、磁石自身や磁石に反応する金属の方が高くなります。

歯科用インプラントは、MRI検査画像に多少の乱れを発生させることがありますが、診断結果を左右するような大きなものではないため、その影響力は無視できるレベルと考えてよいでしょう。発熱や磁石による引っ張る力がインプラントに悪影響を及ぼすことも、過去のデータから見てもほとんどありません。

近年では、歯科用インプラントがMRI検査に影響を与えないことが少しずつ浸透してきたようです。歯科用インプラントを理由にMRI検査を断られることは少なくなってきたと言われています。歯科用インプラントは、基本的にMRI検査に大きな影響を与えないので、心配しすぎる必要はありません。しかし、検査を実施する病院によって方針も違うため、稀に断られる場合もあります。インプラントをしていることによって、検査が受けられずにほかの問題が悪化してしまうことは本意ではありません。

歯科用インプラントの治療を受けた方が、MRI検査を受ける際、インプラント治療を行った歯医者さんへ相談しましょう。自分のインプラントの素材や術式を確認することができますし、必要であれば、担当歯科医よりMRI検査は問題がないことを書面にしてもらうこともできるはずです。

私たちは定期的なの健康診断、人間ドックで、自分の体のバロメーターを知ることができます。精密検査が必要になることもあるでしょう。現代の医療技術を使い、健康の維持、病気の予防をすることで毎日を豊かに過ごすことができます。体重の増減だけではなく、血糖値、尿酸値など病気の予兆などを確認し、健康な生活を維持できるように努めましょう。

もちろん、歯科検診も忘れてはいけません。私たちの体を作るほとんどすべての物は、お口からの栄養で作られています。体の栄養の入り口を大切にすると、体の健康を長く保つことができます。

心の元気は、体とお口の健康から!

どこかに痛みや不調があると、何事も楽しむことができません。健康寿命を延ばすためにも、元気においしくご飯を食べましょう。

埼玉県のど真ん中にある鶴ヶ島市にあるプラザ若葉歯科。

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