インプラントの治療期間に関して

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失ってしまった歯を取り戻すことが出来るインプラント治療。従来の入れ歯と比較して多くのメリットがあるのが、事実ですが、逆にデメリットがあるのも事実であります。例えば治療期間が長くなってしまうのも一つのデメリットになります。特に、遠方からの通院や仕事が忙しい患者さんは、治療期間の長さが気になる点であると思います。そこで、ここではインプラントの治療期間がどのくらいなのかについてご説明致します。

インプラント治療は、基本的に2度の手術を行います。「基本的に」と付けたのは、1回の手術で終える一回法という治療方法もあるからなのです。まとめますと、インプラント治療では1度の手術だけで治療する方法を一回法、従来どおり2度の手術を行って治療する方法と二回法があります。

そして、治療期間で考える場合でしたら、一回法だと治療期間が若干短くなります。ただし、格段に短くなるわけではないです。単に治療期間の差でどちらかを決めるのはおすすめすることはできません。なぜかというと、一回法、二回法ではそれぞれ独自の特徴や注意点があるからになります。これらの特徴や注意点、全てを把握して考慮した上でどちらの治療にするかを決めることが大切です。

もちろん、患者さんからすれば、治療期間が短い方がいいというのは当然です。ですが、歯科医師の立場から考えますと、治療期間の長さだけで、インプラント治療を決めるということはリスクがありすぎます。インプラント治療は歯科治療の中でも手術を必要とした高度で、大掛かりな治療になってきます。そのような理由がありますから、安全性を最優先した治療を、歯科医師は心掛けているのです。

もし、仮に治療期間の短さを売りにしている歯科医院があったとして、治療期間だけにこだわる患者さんにはそれが魅力に感じるかもしれません。しかし、精密検査を疎かにする等、治療を省くことでの治療期間の短縮であるならば、そのことは安全性に関わってきます。治療期間を考えることも、もちろん大切なのですが、それだけを基準にした歯科医院は選びは絶対にしてはいけません。

それでは、具体的にインプラントの治療には、どれくらいの期間がかかるのかご説明致します。

インプラントの治療は、

1、人工歯根を歯茎の中へ埋め込む
歯が抜けてしまったところに人工歯根(インプラント)を入れます。
治療にかかる時間は、状態や本数にもよるのですが、通常は30分~60分程度です。それほど長い治療時間はかかりません。

2、骨肉と人工歯根の結合を待つ
インプラントと骨とがしっかりとくっつくまで待ちます。
この間は仮歯を入れるので、普通に噛むことは可能です。安静期間は、個人差がありますが、だいたい2~3ヶ月です。状態確認をしながら待ちます。

3、連結部分を着けて人工歯をかぶせる
しっかりと骨とくっついたインプラントに歯冠部をつけていきます。噛み合せなども調整していきますので、快適に噛むことができるようになります。噛み合わせの調整にはじっくりと時間をかけるのですが、歯冠部の装着時間は30分~60分程度です。

4、インプラントの治療中について
手術直後に仮歯を入れることが可能です。入れ歯をお使いの場合は、その入れ歯を仮歯に作り直すことも出来るのです。
よって、治療期間中に「食べられない」等といった問題は、全くございません。

上記の大きな3つのプロセスがあります。その中で、「2、の定着期間」は約1ヶ月以上の期間が必要になってきます。
よって、インプラントの治療期間はトータルで2~6ヶ月ほどかかるのが一般的と言われております。

虫歯治療に比べまして「長い」と感じる人もいらっしゃると思うのですが、インプラントとはアゴの骨に穴を開け、器具を埋め込む外科手術になりますので、ある程度の治療期間は必要になってきます。

そして、口腔内環境や骨の硬さ、大きさ等は、人それぞれで、異なってきますので、治療期間に関しましても人それぞれになります。歯周病や虫歯などがある人の場合は、先に歯の治療を行います。骨の幅が少ない場合は骨の増大治療を行った上、インプラント治療を行うことになります。入れる本数が多くなれば多くなるほど、時間もかかってきます。骨がやわらかい人の場合は、治癒に時間がかかるケースが多くなってきます。

あくまで目安として、治療期間を受け止めて、くわしくは歯科医師と相談し、自分がどうしたいのか、どのくらいの期間がかかるのかをしっかり確認しておくことが大切です。

最近は、「仕事が忙しいため、長期間通うことが出来ない」「人前に出る仕事なので、歯のない状態で長く生活できない」等、そのような人のため、抜歯と同時にインプラントを埋入する「抜歯即時インプラント」であったり、埋入手術後すぐに仮歯を入れる「即日負荷インプラント」等、短期間で治療を進めることができる治療法も増えてきています。これらは治療が受けられる人とそうでない人がいますので、くわしくは歯科医師に相談することがベストです。

長い治療が完了しても、それで終わりではありません。耐久性に優れ、長期間にわたって歯と同様に使えると言われるインプラントでありますが、100%万能とは言えません。この理由としては、インプラントには厄介な敵「歯周病」が待ちかまえているからなのです。

時間とお金をかけてインプラントを入れたとしても、歯周病により周囲の歯肉が痛んだり、痩せたりしますと、インプラントが使えなくなってしまうケースもあります。また、インプラントは人工物なので、周囲が歯槽膿漏などになっても自覚症状はなく、悪化する場合があります。

このようなトラブルを放っておいたままにしておくと、最悪の場合になるのですが、インプラントが抜け落ちてしまうことがあります。また骨が大きく痩せてしまった人、全身の健康状態に問題がある人等は、再手術ができないこともあるので注意が必要になります。

インプラントを1日でも長く維持させるためには、日頃からの正しい歯磨きやプラークコントロール等を行い、お口の中を健康に保つことが重要になってきます。歯ブラシやデンタルフロスなどでまめにケアすることはもちろんなのですが、歯医者さんの歯科衛生士さんにお願いして自力では行き届かない部分までクリーニングしてもらうこともオススメです。

加えて、定期的に歯科医院で検診を受けることをすればさらに確実です。レントゲンで骨の状態をチェックしたり、かみ合わせや口腔内の環境がうまくいっているかなど、歯科医師に正しく診断してもらうことはとても大切です。メンテナンスは可能なら3ヶ月に1回くらいのペースで、少なくとも年1~2回は通うことが良いと思われます。

最後になりますが、インプラントの治療期間に関してですが、まとめさせていただきます。

ポイント1.インプラントの治療期間:平均で2ヶ月~6ヶ月。手術後の定着期間が人によって様々なので、ここまで差が出てしまいます。

ポイント2.骨の状態次第で治療期間は長くなる:骨移植や骨造成などを行うと治療期間が長くなってしまいます。

ポイント3.治療後も通院が必要:治療が終わっても一定期間ごとにメンテナンスのための通院が必要です。

ポイント4.一回法の検討:一回法は手術が1度で済むので、二回法と比べまして治療期間が少し短くなります。

ポイント5.治療期間だけに捉われない:治療期間の短さだけで歯科医院を選ぶのは安全性に関わってきます。

上記5つのことにより、インプラントの治療はどのくらいの期間が必要になってくるのかが分かります。インプラント治療は確かに治療期間が長いです。ですが、その長い期間中、頻繁に通院しなければならないというわけではありません。治療期間が長くなる理由の主は定着期間があるからなのです。それぞれの治療においては、日数は掛からないのです。ただし、長期間の通院が必要になることは確かなのです。このため、治療する歯科医院を決める時、そこに長期間通えるのかどうかということも歯科医院選びの判断基準にすることがオススメです。

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